ディメンションを確認するー物理得点アップ法その1ー

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トップページで触れた物理得点アップ法のひとつ「ディメンションを確認する」について述べます。

ディメンションは物理学の根幹を成すとても重要な事項なのですが、なぜか高校ではあまり教えられません。でも、クラスの物理が得意な子に聞いてみてください、きっとディメンションを知っていますよ。ディメンションを知っているといないでは、物理のテストの点が全然違ってくると思います。

平成27年センター試験「物理」でディメンションだけで答えが絞れる問題が多く見られました)

具体的な例から説明しましょう。今、変位x(距離と方向)を問われているとします。そして解いたら答えがx=1/2at+vtになったとしましょう。ここで物理が得意な子は瞬時に「あ、間違ってる」と気づいてやり直します。どこでわかるのでしょうか。ヒントは単位です。

xは変位ですから単位はm(メートル)です。しかるに右辺のatは、aが加速度でm/s2(メートルパーセコンド2乗)、tが時間でs(セコンド)ですから、かけるとm/sになってしまいます。イコールの左でm、右でm/s、こういうことは絶対にありません。だからすぐにまちがっていると分かるのです。

こういうことです。

イコールの左辺と右辺で単位の次元(ディメンション)が異なることは絶対にない。ディメンションの異なる量どうしを足したり引いたりすることは絶対にない。

物理が得意な子は、答えが出たら必ずディメンションの確認をしていたのです。これをやるとうっかりミス、計算ミスが格段に減らせます。それで全然得点が違ってくるのです。

もう少し詳しく説明しますね。物理に出てくる量は必ず、長さm(メートル)、質量kg(キログラム)、時間s(セコンド)、電流A(アンペア)、物質量mol(モル)、温度K(ケルビン)の6種の単位の組み合わせで表されます。たとえば、加速度は長さの1乗かける時間のマイナス2乗つまりm/s2ですね、これが加速度の単位の次元、ディメンションです。エネルギーのディメンションはJ(ジュール)=kgm2/s2です。このディメンションがイコールの左と右で必ず一致していなくてはならないのです。学校の授業で先生が「力の単位ニュートンNはkgm/s2キログラムメートル毎秒毎秒ですよ」と説明しているときにぼんやり、ふ~ん、と聞き流している生徒が多いと思いますが、じつはこの単位の次元というものは物理ではとても重要で、高校物理でもテストで見直しのときに使えば強力な武器になります。

これからテストで答えがでたら必ずディメンションを確認するようにしてください。またすべての解答が終了したら、細かい内容は置いといて、答案用紙の最初から答えのディメンションだけを確認していくとよいでしょう。E=1/2mvなどとなっていたら、左辺がエネルギーで右辺が運動量だからディメンションがちがう、まちがっている、と気づくはずです。最初はディメンションをあわせるのが面倒だったり時間がかかったりするかもしれませんが、慣れればこれほど有効な答えあわせの手段はないでしょう。

簡単な例題をやってみます。

電荷Q(>0)の固定された点電荷Qがつくる電場がある。Qからr離れた位置から無限遠まで、質量m、電荷q(>0)の点電荷qがQがつくる電場により運動する。qの初速度を0して、無限遠でのqの速さvを求めよ。

これは電場におけるエネルギー保存から

mv2/2=kqQ/r

これを解いて

無限遠における点電荷の速さ

このディメンションを確認するのは慣れていない人には難しいと感じるでしょう。クーロン定数kのディメンションはよく分からないし、計算も・・・。でもそう難しくはありません。まずkQ/rは電位Vですね、さらに電位Vに電荷qをかけるとエネルギーですね。そこでkqQ/rをまとめてエネルギーだと置き換えます。すると根号のなかはエネルギー割るmになりましたね。ここで運動エネルギーが1/2mv2だったことを思い出します。これをmで割るとv2ですね。根号をはずしてv。左辺と同じになりましたね。これで解答のディメンションが合っていることが確認できたわけです。エネルギーが[J]=[kgm2/s2]から[kg]で割って、根号を外すと[m/s]、としても良いです。

次の例題。20[℃]の水100[g]に420[J]の熱を加えると温度は何[K]上昇するか。水の比熱を4.2[J/g・K]とする。

これはΔQ=mcΔTを使って

比熱

と単位をつけて計算すると間違いがぐっと減らせます。またこの問題では公式を忘れてしまっても、単位のディメンションだけ合わせてやろうという考えで解けてしまいます。つまり[g]、[J]、[J/g・K]を組み合わせて[K]をひねり出してやれ、と考えるわけです。[g]と[J/g・K]をかければ[g]が消えて[J/K]、あとはそれで[J]を割ってやれば[K]になる!これで正答が導けます(こういう方法を次元解析と言います)。もちろん、いつもこのようにディメンションだけ合わせれば答えが出るというわけにはいきませんが、ディメンションがとても大切なことは分かっていただけたでしょう。

センター試験のような択一式の問題では、選択肢のディメンションがバラバラだったら、問題を解かずともディメンションを確認するだけで正解が出てしまいます。平成26年、25年のセンター試験ではそういう問題はありませんでした。平成24年に、1問だけ6個の選択肢のディメンションが3個ずつ半々に分かれている問題がありました(解答番号17)。この問題に限っていえば、最初から半分は解答の候補からはずせるわけです。新課程になった平成27年はディメンションで答えが分かってしまう乃至は答えが絞れる問題がたくさんありました。難しくて解けない問題でも、選択肢のディメンションを確認する習慣にしましょう。

物理にはうっかりミスがつきものです。解答を終えたら必ずディメンションの確認をする。解答の途中でもディメンションの異なる値同士を足したり引いたりしていないか気をつける。数値を与えられている問題では単位をつけて計算する。これを守れば物理の得点はかなりアップするでしょう。是非、やってみてください。

補足。正確にはディメンションと単位は別のものです。しかしテスト中に「時間」、「質量」などと書いていると時間がかかってしょうがありません。そういう訳でここではディメンションの代用として単位を用いました。答え合わせにはそれで足ります。

参照 常にディメンションを意識した表記にしよう。

 

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『§4 「エネルギー保存の法則」「運動量保存の法則」の式をたてる際に注意すること』より

「運動量保存の法則は、「内力だけが働く系では、運動量の和が保存する」というものです。ここで運動量はベクトルですから分解することができます。すると、外力が働いていてもそれが一方向を向いていれば、それに垂直な方向は内力だけが働くことになりますから、その方向の運動量は保存します。したがって運動量保存を使うときは、まず働く力全てを内力と外力に区別し、外力が一方向を向いていないか調べることからはじめます。

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