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2018年東大物理を解説します。

2018年東大物理を解説します。

例年通り3問構成、第1問は力学、第2問は電磁気学、第3問は熱力学でした。今年も原子の範囲は出題されませんでした。

問題はこちら

第1問、2物体系の運動の問題。

Ⅰ(1)私が教えるとき1番力を入れている、2物体のエネルギー保存と運動量保存。

エネルギー保存を用いるときは、

働く力をすべて挙げて、仕事をする力をしない力に区別して、仕事量を求める。

その際

を用いるとよいばあいがある。

この問題の場合だと、仕事をする力は重力mgと張力Tの作用・反作用です。

そして、小球の変位をx、台の変位をXとすると、2つのTがした仕事は

x-Xは台から見た小球の変位です。台から見た小球の運動は円運動なので、x-XはTと垂直です。よって張力の作用・反作用が系にする仕事の和Wは0です。

よって運動の過程で系に対して仕事をしているのはmgのみです。mgは保存力なので力学的エネルギー保存が使えます。

運動量保存を用いるときは、

働く力をすべて挙げて、外力と内力に区別し、外力がすべて一方向を向いていないか調べる。向いていれば、それに垂直な方向の運動量は保存する。

この問題で内力は張力、重力、床からの垂直抗力が外力です。外力はすべて鉛直方向なので、水平方向の運動量が保存します。

 

1/2・mv2+1/2・MV2=mgL(1-cosθ0)

mv=MV

この2式をv、Vについて解いて、答えはvです。

 

このエネルギー保存と運動量保存については私の著書で詳しく説明しています。

『高校物理発想法』§4「エネルギー保存の法則」「運動量保存の法則」の式をたてる際に注意すること

『東大物理攻略法』§1エネルギー保存と運動量保存

東大物理攻略法

(2)台から見たら、糸上の点の運動は円運動なので、角速度は等しいとして、台から見た糸上の点の相対速度を求めて、それを床から見た速度に戻せばよいです。

(3)(2)で求めた速度を0とおいて求めます。それはv、Vで表されているので、水平方向の運動量保存を使って、m、Mで表すように変換します。結局Qは小球と台の重心ですね。

(4)これは、長さL-l0の単振り子です。

Ⅱ(1)慣性力maと重力mgの合力が見かけの重力で、見かけの重力の方向を中心に振り子運動をするとして、小球が鉛直下方にある位置の中心に対する対称な位置が最高点です。

または、台から見た小球の運動は、力mg、ma、張力Tによって行われ、張力Tは仕事をしない。最初と最高点の小球の運動エネルギーは0、よってmgとmaのした仕事の和が0としても求まります。

(2)床から見て系に仕事をするのはFとmgと張力の作用・反作用。Ⅰの(1)と同様に張力のする仕事の和は0。よって求める仕事は位置エネルギーの増分と運動エネルギーの増分の和です。

最高点で小球の速度の鉛直成分は0ですから、小球と台の速度は等しくなっています。

(3)最初、台に働く水平方向の力はFのみです。よってF(0)=Maです。t=t0では、台に働く水平方向の力はFと張力の水平成分です。張力は、台から見た小球の運動は円運動で、最高点では速度0ですから、小球に働く力、重力mg、慣性力ma、張力Tの向心成分の和は0であることから求まります。

やや面倒ですが、台の運動方程式を立てて、丁寧に求めるとF(t0)は(M+m)aと(M+2m)aの間であることが分かります。

答えはイです。

(4)Qは重心で、t0以降、系に水平方向に力は働きませんから、重心の運動は等速直線運動です。

Q から見た小球の運動は、長さL-l0の単振り子です。答えは(4)のT1と同じですね。

こんな風に同じ答えだと、本当にこれでいいのか?、と心配になりますが、こういう、同じかよ!とツッコみたくなるケースがあることも知っておくべきでしょう。

 

第2問

Ⅰ(1)コンデンサーの極板間に働く力Fは

F=QE/2

ガウスの法則から

Q/ε0=ES

また

V=Ed

これらから求めます。

クーロン力はF=QEですが、コンデンサーの2つの極板はQ、-Qの電荷を帯びていて、それぞれが電場E/2をつくり、電荷は自分がつくった電場からは力を受けないので、F=QE/2になります。

(2)弾性エネルギーUは

F=kx

U=kx2/2

から求まります。

(3)働く力が極板間引力と弾性力で、運動方程式を立てて、

単振動の運動方程式ma=-k(x-x0)

と比較します。

(2π/T)2=k/m

で周期Tが分かります。

Ⅱ(1)極板に蓄えられている電荷を求めて、金属板3に働く極板間引力と弾性力がつりあう条件を求めればOKです。

(2)ガウスの法則から各極板間の電場が求まって、それに極板間距離をかければ電位差で、電位差の和がVとすれば求まります。

(3)(2)と同様にして電位差の和が0だとすれば求まります。

(4)運動方程式を立てて、単振動の運動方程式と比べます。

単振動の問題は、力学の分野に限らず出題されるので、最頻出問題です。運動方程式を立てて、単振動の運動方程式と比べる、という単純なものなので確実に得点したいです。

 

第3問

Ⅰ液体の同じ高さで圧力が等しいとすればよいです。高さhの液柱の底面にかかる圧力pは

p=ρhg

です。

Ⅱ(1)やはり同じ高さで圧力が等しいことと、液体の体積が変化しないことから求まります。

(2)体積は簡単に分かりますね。

V1=4Sh

ΔV=Sx

圧力はAとBの液面差が3x/2広がったことから

Δp=ρ・3x/2・g

です。

(3)p1一定とあるのでW=p1ΔVですね。

(4)2つの厚さx/2の液体が3hと-2h鉛直方向に変位したとして位置エネルギーの変化を求めればよいです。

(5)Cの上方の大気に対してした仕事を考慮に入れます。

Ⅲ(1)Ⅱ(2)の答えにx=2hを代入すればOKです。温度に関しては状態方程式です。

(2)熱力学の第Ⅰ法則より

Qin=ΔU+Wした

ΔUは

ΔU=nCVΔT

定積モル比熱CVは単原子分子理想気体なので3R/2です。

Δp=x/2h・p1

ですから圧力が直線的に変化することが分かります。

よってp-Vグラフを描いて、面積を求めればそれがWしたです。

 

以上です。

超難問はありませんでしたが、結構状況を把握するのに手こずって時間が足りなかったかもしれません。