2018年東大化学を解説します。

2018年東大化学の解説です。

問題はこちら

大問が3問で、第3問がⅠ、Ⅱに分かれています。実質4問構成です。一昨年まで6問構成だったので問題数的に易化傾向と言えるでしょう。

第1問。ジケトピペラジン類という高校化学であまりお目にかからない物質の問題ですが、実質的にアミノ酸の構造決定の問題です。

(ア)エタノールとナトリウムからナトリウムエトキシドができる反応の化学反応式を作る問題

(イ)アミノ酸の硫黄反応の問題。アミノ酸・タンパク質に硫黄が含まれていると硫黄反応で硫化鉛の黒沈ができます。よって答えは硫黄が含まれている①、⑥です。

(ウ)塩化鉄(Ⅲ)水溶液を加えると紫色を呈するのはフェノール類です。④ですね。

(エ)ここまででAを構成するアミノ酸は①か⑥と④です。実験5はシステインからジスルフィド結合が出来る反応です。よってAを構成するアミノ酸の1つはシステインなので①です。これでAは決まりました。答えa ジスルフィド、b 還元

(オ)実験3はキサントプロテイン反応で、この反応に陽性の物質にはベンゼン環が含まれます。さらに実験4からBはフェノール類ではありません。よってBを構成するアミノ酸は⑤です。実験1からBを構成するアミノ酸は1種なので、Bは⑤が2つから構成されることが分かります。

Aには不斉炭素が2つあるので、異性体数は22=4。Aは含めないので答えは4-1=3

Bも不正炭素数は2ですが、4つのうち、分子内に対称点があるものがあって、対称な2つは同じものです(メソ体)。よって異性体数は3です。答え3-1=2

(カ)ベンゼン環の臭素による置換反応。水酸基もアルキル基もオルト・パラ配向性なので、答えは複数考えられると思います。

(キ)これは元素分析の問題。

(ク)Cは実験2から①または⑥を含む。実験3から④⑤は含まない。この条件で(キ)の比に適合するものを探せばよいです。

(ケ)実験9からD、Fにはカルボキシ基が含まれることが分かります。さらにDは中性では移動しないのですから、中性で双性イオンになっている、つまり、アミノ基を持つと推測されます。そのアミノ基がアセチル化されたのがFですね。したがってDは③と⑧から成ります。

(コ)Fは、③⑧からなるDのアミノ基がアセチル化されたものです。

ジスルフィド結合とメソ体がやや難だったかもしれません。来年以降の受験生は学習しておいてください。

第2問。金属酸化物とアルミニウムの融解塩電解の問題。

(ア)石灰水と二酸化炭素から炭酸カルシウムの白沈ができる化学反応式と、炭酸カルシウムの熱分解の化学反応式。

(イ)金属イオンの半径をr、酸化物イオンの半径をRとすると

2r+2R=a

これをマグネシウムについてとカルシウムについての式を立てて解けばOK。

(ウ)それぞれ、結晶の構造が同じで電荷も同じなので、イオン間距離が近いものがクーロン力が大きいので融点が高くなります。答え MgO

(エ)Alが2モルからAl2O3が1モルできて、原子量と密度から体積比がわかります。

(オ)アルミニウムの融解塩電解の典型問題。水溶液中にはH+があるので、AlではなくてH2が出来てしまうのですね。理由はイオン化傾向の大小です。

(カ)Al3+と濃水酸化ナトリウムだから錯イオンですね。

(キ)6配位の錯イオンは正8面体構造です。2つのOHが隣の頂点にあるか、離れた位置にあるかの2通りです。

(ク)アルミニウムに融解塩電解の陽極の反応は、酸化還元半反応式としては特殊なものなので、暗記しておくべきです。

C+O2-=CO+2e

C+2O2-=CO2+4e

(ケ)陰極の反応は

Al3++3e=Al

これで、Alが受け取った電子のモル数と炭素が渡した電子のモル数が等しいという方程式を立てれば求まります。一酸化炭素になった炭素のモル数n1、二酸化炭素になった炭素のモル数n2などとして式を立てればいいでしょう。

第3問のⅠ

(ア)HClのほうがモル数が多いので、加水分解なども起こらず、中和後残ったH+のモル数を求めて2[L]で割ればいいです。

(イ)Ka=Kw/Kbですね。

(ウ)HClはすべて中和されています。NH3とNH4+の平衡が生じています。単にアンモニアがHClと中和しただけの状態からは少し平衡が移動しているはずですが、NH3もNH4+もたくさんあるので、平衡移動は無視できます。緩衝溶液の水素イオン濃度の解法で解けます。

(エ)HCl が中和された後、今度はNH4+がNaOHに中和されるので、2段階滴定です。pHの値やpHジャンプが起こる時刻などを考慮に入れて、答えは(4)です。

(オ)加えた塩化アンモニウムのモル数をxとして、pH=9だからおそらくNaOHはすべて中和されただろうとして、緩衝溶液の水素イオン濃度の式を立てれば求まります。

第3問のⅡ

(カ)実在気体は高温域で理想気体に近づきますから、答えのグラフは高温域で点線に収束します。T1で凝縮、T2で凝結しますから、体積はガクッと減ります。

(キ)これは係数比較法でOKです。

(ク)ルシャトリエの原理ですね。

(ケ)化学反応式を書いて、変化量を追っていけば分かります。

(コ)COとCO2の生成熱から、COの燃焼熱が分かり、CH3OH(液)の燃焼熱とCH3OHの蒸発熱から、CH3OH(気)の燃焼熱が分かります。これで反応熱を求めたい式にでてくるすべての物質の燃焼熱が分かったので反応熱が求められます。

熱化学方程式の問題の解き方についてはこちらを参照ください。

高校化学 熱化学方程式の問題の解き方

 

そう難問は無く、一昨年以前と比べると問題数も減ったので、適正なレベルの出題だったと思います。

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