運動量保存を使うときに考えること

以下のページで、エネルギー保存の法則、エネルギーの原理を使う場合になにを考えるのか述べました。

2物体両方が変位する場合に垂直抗力、張力は仕事をしないか?①

2物体両方が変位する場合に垂直抗力、張力は仕事をしないか?②

2物体両方が変位する場合に垂直抗力、張力は仕事をしないか?③

ここでは、運動量保存の法則を使うときになにを考えるべきなのかを述べます。

なめらかな床の上に、角度θのなめらかな斜面を持った台が置かれていて、その斜面上を小物体をすべらせる。台・小物体は最初ともに静止している。台、小物体の質量はそれぞれM、mである。小物体が最初の位置から鉛直方向にh変位した瞬間の、台の速さ、小物体の速さを求めよ。重力加速度はgとする。

という問題を考えます。

力学の問題は、まず、力のベクトル図を描くことからです。

そして速度の設定

最初、両者が静止しているのだから、運動量保存は

mv+MV=0

と考えてしまう人はいませんか。運動量保存の法則が成り立つには、対象としている物体間の内力のみの運動である、という条件が必要です。先の力のベクトル図を見ると、nは内力ですが、N、Mg、mgは外力です。したがって、このままでは運動量保存は成り立っていません。では、どうするのか。

運動量はベクトルです。したがって、自由に分解・合成ができます。よって、外力が働いていても、外力すべてが一方向を向いていれば、それに垂直な方向について運動量保存が成り立っているのです。

問題で、外力N、Mg、mgはすべて鉛直方向ですから、水平方向の運動量が保存します。

mvxMV=0

これがこの問題における正しい運動量保存の式です。

運動量保存の法則を使うときに考えることは、

「すべての力を挙げて、それらを内力と外力に区別し、外力がすべて一方向を向いていないか調べる。向いていれば、その方向と垂直な方向の運動量が保存する」

です。これはとても大切なことなので、しっかり理解してください。

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