イオン化エネルギー・電子親和力・電気陰性度・原子半径・イオン半径の傾向

 

イオン化エネルギー・電子親和力・電気陰性度・原子半径・イオン半径の傾向について説明したいと思います。

まず定義から

・イオン化エネルギー 原子から電子を取り去るのに必要なエネルギー

→大きいほど陽イオンになりにくい

・電子親和力 原子が電子を受け入れたときに放出する熱(「力」とあるが熱)

→大きいほど陰イオンになりやすい

・電気陰性度 原子間で共有された電子対を引き寄せる勢い

→どのような結合(共有結合、イオン結合、金属結合)かを決める指標

(イオン化エネルギー、電子親和力の単位はジュール/molで、電気陰性度は大小関係(どちらが強いか)が分かればよく、特に単位は決まっていません。水素Hの電気陰性度を2.1とすることが多い)

 

・第1イオン化エネルギーの傾向

典型元素では

①原子核の陽子数が大きいほど(プラスが大きいのだから)、電子は取り去りにくい。

②原子核から取り去る電子の軌道までの距離が遠いほうが、電子は取り去りやすい。

よって第1イオン化エネルギーは

・同一周期の元素では、最外殻電子の軌道はおなじだから、①の効果で原子番号が大きいほど(右に行くほど)大きい。

・同属では、原子番号が大きいほど(下に行くほど)、最外殻電子までの距離が大きいので②の効果から第1イオン化エネルギーは小さくなります。原子番号が大きいほど陽子数が大きいので、①の効果が大きくでそうですが、同族では有効核電荷が等しいので①の効果は等しくなります。有効核電荷とは、例えばNaは価電子が1個で残りの10個の電子が閉殻構造で陽子が11個ですから、11-10=1で有効核電荷は+eです。Kは価電子が1個で残りの電子18個が閉殻構造で陽子が19個ですから、19-18=1で有効核電荷は同じく+eです(物理のガウスの法則ですね)。

イメージ

イオン化エネルギー

おおまかな傾向はこのように周期表の左下から右上に大きくなるですが

もうすこし正確には

このようになります。

典型元素のイオン化エネルギーは、左下から右上で少しジグザグすると覚えてください。

遷移元素のイオン化エネルギーはあまり変化しません。

・第1電子親和力の傾向

①ハロゲンが特に大きい

②第1電子親和力は第1イオン化エネルギーよりかなり小さい

③2属、12属、18属はほぼ0

・電気陰性度の傾向

電気陰性度は第1イオン化エネルギーと第1電子親和力の和に比例します(『新理系の化学(上)』41ページ参照)。

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そして、第1電子親和力は第1イオン化エネルギーよりかなり小さいのですから、電気陰性度の傾向は第1イオン化エネルギーの傾向とほぼ一致します。

・原子半径の傾向

最外電子殻までの距離が遠いほど大きく、最外電子殻までの距離が同じなら原子核の陽子数が大きいほど小さくなりますから、イオン化エネルギーのイメージ図の逆になります。ただし、これは18属を除いた傾向です。また、原子半径には、共有結合半径とファンデルワールス半径があります。共有結合半径<ファンデルワールス半径です。

・イオン半径の傾向

最外電子殻までの距離が遠いほど大きいので、同属では下に行くほど大きいのはよしとして、問題は同一周期です。例えば、Na+,Mg2+,Al3+,O2-,Fではどうなるかと言うと、これらはすべて同じくネオン型の電子配置です。よって陽子数が大きいほど、すなわち原子番号が大きいほど小さいということになります。よってO2-,F,Na+,Mg2+,Al3+,順に大→小です。ところがこれらのイオンの元素は同一周期ではありません。ということは「同一周期の元素でイオン半径はどういう傾向にあるか」と聞かれたら、「一定の傾向はない」と答えなければなりません。傾向がないわけではないが、同一周期でと聞かれたらということです。陽イオン半径は原子半径より小さく、陰イオン半径は原子半径より大きくなります。

まとめ

①第1イオン化エネルギーと電気陰性度の傾向

イオン化エネルギー

②第1電子親和力の傾向

ハロゲンが特に大きい

③原子半径の傾向

イオン化エネルギーのイメージ図の逆(ただし、18属は除く)

④イオン半径の傾向

同属では下に行くほど大きい。同一電子配置では原子番号が大きいほど小さい。同一周期では一定の傾向はない。陽イオン半径は原子半径より小さい、陰イオン半径は原子半径より大きい。

これだけ覚えていれば良いでしょう。

 

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