となりの物体にも同じ力が働く?

高校物理参考書『高校物理発想法』を出版しました。

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もうすぐ大阪の高校入学試験合格発表ですね。自信はどうですか?今回は新入生・物理入門者向けの内容です。

トップページ、大学受験を目指すお子様の保護者の方へ~物理編~で、二物体が並んでいて、一方に力を加えたとき、となりの物体に働く力はいくらか?という問題に触れました。今回はそれを詳しくやりたいと思います。ここで高校物理につまづく人が多いので、しっかり理解してほしいです。

平らな床の上に直方体が重ねて置かれているとします。

床の上の物体①

図のように、物体A、BとしてAの質量はmです。高校入学前の人には質量が分からないかもしれません。地表近くでは、質量mの物体は地球から重力mgを受けます。gは重力加速度といって決まった量です。日常生活で「重さ」と言ってるのはこのmgをキログラム重単位で表したものです(「キログラム」は質量で「キログラム重」は力です)。質量は「重さを決める量」つまり「物体が地球からどのくらいの力で引っ張られるかを決める量」だと思ってください。

問題はBに働く力です。まず重力が働きます。それはよしと。それでAが上に乗っかっているのでAから力を受けます。この力の大きさを問題にしたいのです。物理をあまり学んでいない人は、「Aに重力mgが下向きに働いているのだから、その力がAを通り抜けて働いて、AがBを押す力はmgだ」と考えてしまいます。答えだけ見れば、たしかにAがBを押す力はmgで合っているのですが、この「Aに働く力が通り抜けてBにも働く」が非常にまずい考えです。

Aに働く力とBに働く力は本質的に別のもので、Aに働く力がBにも働く、などということは絶対にありません。ではどのように考えるのか。

それには「作用・反作用の法則」と「運動方程式」が必要です。作用・反作用の法則は、「AがBに力を及ぼしているとき、必ずBはAに逆向きで同じ大きさの力を及ぼしている」というものです。なーんだと思うかもしれませんが、これはとても重要な法則です。また一見簡単に見えるため、まちがって理解している人を見かけます。先の二物体が床の上に重ねてある例で考えると、AがBを押す力がBがAを押す力と逆向き・等大でこの二つの力が作用・反作用です。たまに、Aに働く重力とBがAを押す力が作用・反作用だ、と思っている人がいますが、これは間違いです。Aに働く重力の反作用はAが地球を引っ張る力です。気をつけましょう。

次に運動方程式。先に、質量は重力を決める量だと言いました。実は、質量にはもうひとつ意味があって、「物体に力が加わったときの加速度のつきにくさ」を表しています。ちょっと難しいかもしれません。加速度というのは速度の変化率、加速度が0なら速度は一定、加速度があればどんどん速度が大きくなっていくということです。物体に力が加わったとき、加速度は力に比例します。なぜ?と言われるかもしれませんが、これはニュートンが発見した自然法則です。自然はそのようになっていると思ってください。同じ物体に二倍の力が働けば、加速度は二倍になります。また質量は加速度のつきにくさですから、同じ力が質量二倍の物体に働けば加速度は二分の一です。この辺、高校物理の最初のほうで習います。式にすると力F、質量m、加速度aにたいして、F=ma、これが運動方程式です。

知識の説明が続きましたが、となりの物体に同じ力が働く、がまずいことを説明していきます。

図のように、床の上に直方体が横に接触して置かれています。物体mとMで質量もそれぞれm,Mです。mに左から水平にFの力で押すとします。「となりの・・・云々」でいくと、mを通り抜けてMにもFの力が働きます。作用・反作用の法則からMがmを押す力もFになり、mに水平に働く力はF-Fで0。すなわちmの加速度は0になります。しかるにMに水平に働く力はFだけですから、加速度0ではありません。mとMは接触しているはずなのに、加速度が違う、ということになってしまいます。これはおかしいですね。

床の上の物体正

ただしくはこうです。並んで押されているのですから両物体の加速度は同じです。aと置きましょう。mM間の作用・反作用の大きさはfです。これでmとMの運動方程式を立てます。

mの運動方程式:F-f=ma
Mの運動方程式:f=Ma

これを解くと

a=F/(m+M)
f=MF/(m+M)

fはFと違いましたね。mがMを押す力はFと考えるのではなくて、未知の力fと置かなくてはいけなかったのです。そして作用・反作用の法則と運動方程式から求めます。

最初の重ねて置いた二物体間でAがBを押す力も考えてみましょう。AがBを押す力がfなら、作用・反作用の法則からBがAを押す力もfですね。Aに働く力はmgとfで、Aの加速度は0ですから、f=mgです。ここからAがBを押す力の大きさはmgとわかります。Aに働く重力が通り抜けてBに働くのではなくて、Aに働く重力とBがAを押す力がつりあい、その反作用がBに働く、と考えなければいけなかったのです。

ごちゃごちゃ言われて分かりにくかったかもしれませんが、「Aに働く力がBにも働く」とか「物体を通り抜けて同じ力が働く」というのがまずいというのは分かって欲しいです。高校に入学すれば物理の授業でキチンと教えられますが、ここでつまづいてしまう生徒が非常に多いので、聞き逃がさないようにしましょう。

新しく高校で学習する物理では日ごろ当たり前と思っていることと食い違った法則がでてきますが、柔軟な心構えで取り組んでください。

わたくし、大阪の家庭教師が高校物理の参考書を出版しました。

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タイトルは『高校物理発想法~あやふやな理解を明確に~』です。

『§3 v-t図の考え方』より

「物体の運動を考察する際、v-t図を使うと分かりやすい場合があります。v-t図の用い方は知っている人も多いかと思いますが、ひとつ喚起しておきたいことがあります。v-t図を作図せよ」、という設問があったら、それは、「これ以降の設問でv-t図を利用して解けば簡単に解けますよ」という誘導である場合が多い、ということです。物理の入試問題では、いかに出題者の誘導に乗るか、ということもポイントになってきますので、こういうこともしっかり押さえておきましょう。」

このように受験生が本当に必要としている実践的な知識を載せました。

『§4 「エネルギー保存の法則」「運動量保存の法則」の式をたてる際に注意すること』より

「運動量保存の法則は、「内力だけが働く系では、運動量の和が保存する」というものです。ここで運動量はベクトルですから分解することができます。すると、外力が働いていてもそれが一方向を向いていれば、それに垂直な方向は内力だけが働くことになりますから、その方向の運動量は保存します。したがって運動量保存を使うときは、まず働く力全てを内力と外力に区別し、外力が一方向を向いていないか調べることからはじめます。

教科書に載っている法則をただ覚えているだけではダメです。問題を解くとき具体的にどう使うのかまで理解していなくてはいけません。法則の正しい用い方を明確に説明しました。

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