中和滴定曲線からの酸塩基の特定

高校物理参考書『高校物理発想法』を出版しました。

amazon

詳しくはこちら

化学の大学入学試験の問題で、中和滴定曲線が与えられ、そこから酸塩基がなにかを特定するという問題があります。センター試験でも頻出です。その解法のちょっとしたコツを紹介しますね。

つぎの二種の滴定曲線。

滴定曲線

かなり省略してありますが、縦軸がpH、横軸が滴下量です。左下から右上の形は酸を塩基で滴定したということです。塩基を酸で滴定なら左上から右下ですね。以下、酸と塩基を逆にすれば、曲線が逆で同じことが成り立つと思ってください。で、左はだいたい滑らかにpHが増えていって、中和し、またpHが増えていってます。右は、丸印をつけた部分に注目なのですが、一度pHが増えた後、やや傾きが平板になってから中和を迎えています。この部分をステージと呼ぶことにします(わたしが勝手に名づけた)。じつは、このステージから大きな情報が得られます。ステージがないほうは酸が強酸で、ステージがあるほうは酸が弱酸なのです。これを知っているとかなりスムーズに解答を進められます。理由はこうです。強酸は溶かすと即、ほぼすべて電離します。だから塩基を加えていくと順にH+とOHが反応していくだけですから、一様にpHは上昇していきます。弱酸の場合は、溶かしてもすべては電離しません。最初は電離しているH+とOHが反応しますから、pHは上昇していきます。だんだんH+が減っていくと、電離していなかった弱酸が電離してOHと反応します。この場合、H+もOHも増えませんからpHはあまり変化しません。それでステージができるのです。ところでこのpHがあまり変化しない溶液を緩衝溶液といいます。つまりステージの存在は溶液が緩衝作用を示しているということなのです。緩衝溶液は弱酸と弱酸が電離したイオンを多く含む溶液でしたね。このことからも、ステージがある、すなわち、pHがあまり変化していない、すなわち、緩衝作用を示している、すなわち、酸は弱酸、とわかります。

こんどは塩基側の情報です。中和後は滴下しても塩基が増えていくだけで中和は起こっていないので、右上側は弱塩基でもステージができたりしません。どこから情報を得るか。まず弱酸を弱塩基で滴定した場合、中和点付近でのpHの変化が少ないのです。弱酸は酸性が弱いですし、弱塩基は塩基性が弱いですから。そのため試薬で中和点を知ろうとした場合、適切な試薬がないのです。pH計を使えば弱酸ー弱塩基のペアでも中和点がわかりますが、入試で扱われるのはだいたいフェノールフタレインやメチルオレンジなどの試薬を使う滴定です。その場合、弱酸を弱塩基では滴定できません。よって、ステージの存在で弱酸とわかれば、相手は強塩基だと思ってよいでしょう。ちょっと裏技っぽいですかね・・・。

あとは、強酸を滴定しているのが弱塩基か強塩基かですが、中和後も滴下していけば、液性は滴下している塩基の液性に近づいていきます。そこで右上の終点のpHが滴下している塩基の濃度から求めたpHに近ければ強塩基、小さければ加水分解しているということですから弱塩基です。たとえば塩基が0.1(mol/l)になるように調整されているとして、強塩基なら右上のpHは13くらいになっているはずで、弱塩基なら加水分解しますから13より少なくなっているはずです(10くらいかな?)。正確には、強酸と強塩基でも中和はしているし、混合により体積も増えているので13より少し小さくなります。例えば、0.1(mol/l)の塩酸10(ml)を0.1(mol/l)の水酸化ナトリウムで滴定し、20(ml)加えたところで操作をやめるとします。半分中和されて体積が30(ml)ですから、[OH]=0.1/3(mol/l)で[H+]=3×10-13(mol/l)。pH=13-log3でlog3が0.5くらいですから13より0.5くらい小さくなります。弱塩基だったらもっと小さくなるわけです。

センター試験で出題されるのは、だいたい、弱酸を強塩基で滴定、か、弱塩基を強酸で滴定、が多いようです。

一般のテキストでは、中和点のpHから酸塩基の強弱を判定すると解説していますが、今回紹介した内容を知ってれば解答時間を短縮できると思いますよ。是非、役に立ててください。

今回のブログの内容を詳しくしたものをKindleにて出版しました。『高校化学 中和滴定』です。

高校化学 中和滴定 大阪の家庭教師シリーズ

詳しくはこちら

『高校化学 気体の製法の理論を整理すると』『高校化学 熱化学方程式の問題の解き方』を出版しました。kindle出版です。

 

 

わたくし、大阪の家庭教師が高校物理の参考書を出版しました。

amazon

高校物理発想法

高校物理発想法

タイトルは『高校物理発想法~あやふやな理解を明確に~』です。

『§3 v-t図の考え方』より

「物体の運動を考察する際、v-t図を使うと分かりやすい場合があります。v-t図の用い方は知っている人も多いかと思いますが、ひとつ喚起しておきたいことがあります。v-t図を作図せよ」、という設問があったら、それは、「これ以降の設問でv-t図を利用して解けば簡単に解けますよ」という誘導である場合が多い、ということです。物理の入試問題では、いかに出題者の誘導に乗るか、ということもポイントになってきますので、こういうこともしっかり押さえておきましょう。」

このように受験生が本当に必要としている実践的な知識を載せました。

『§4 「エネルギー保存の法則」「運動量保存の法則」の式をたてる際に注意すること』より

「運動量保存の法則は、「内力だけが働く系では、運動量の和が保存する」というものです。ここで運動量はベクトルですから分解することができます。すると、外力が働いていてもそれが一方向を向いていれば、それに垂直な方向は内力だけが働くことになりますから、その方向の運動量は保存します。したがって運動量保存を使うときは、まず働く力全てを内力と外力に区別し、外力が一方向を向いていないか調べることからはじめます。

教科書に載っている法則をただ覚えているだけではダメです。問題を解くとき具体的にどう使うのかまで理解していなくてはいけません。法則の正しい用い方を明確に説明しました。

他の参考書では書いていないような受験生が本当に必要としている事項満載です。

詳しくはこちらをどうぞ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です